短編集の紹介です。『深夜のダメ恋図鑑』で有名な尾崎衣良先生の短編集。読みきり作品が上手いと個人的に思っている作家さんです。表題作が好きかな。
あらすじ
『描くならハッピーエンド』 尾崎衣良
『描くならハッピーエンド』
真琴は中高と6年付き合った彼氏の佑輔と4月から別々の大学に入学するのを期に別れることを決める。
離れ離れになって佑輔に他に好きな子が出来るかもと不安に思う真琴は、佑輔に大丈夫か訊ねるが大丈夫だと言い切る自信はないという佑輔。それなら変にこじれる前に発展的解消をする事になったのだった。
2人は最後の旅行をし、1年後にもしお互いに好きな人がいなかったらまた付き合おうと約束するが……。
『恋心XXX』
ミヤは大津に告白し、付き合うことになる。大津は文化祭実行委員の為、文化祭準備で忙しく、一緒の時間がなかなか取れない。
ミヤは負担になりたくので一緒に帰れなかったり、作業中他の女の子と仲良くするのも、休みがつぶれる事も不満を言わず我慢していた。
2人で遊べなかった休みに大津が実は元カノであるもう1人の実行委員と文化祭の買出しに2人でいるのを見てしまい!?
『夜の静寂をうつうつと』
パーマに失敗してひきこもり中の大学生・実紀のブームは真夜中の大学に立ち寄ることだった。昼間学校に行っていない罪悪感が薄らぐのだった。
ある夜いつものように大学に行くと、学校の非常階段に隠れ家を勝手に作っている近江と出会い…。
『王子様に目覚めのKISS』
菜己の学校にはきれいな顔立ちで校内だけでなく他校にまでファンクラブ存在する長谷川という王子がいる。
菜己は王子なんて興味なかったが、長谷川と偶然ぶつかりキスしてしまう。長谷川は菜己がわざとぶつかって来たと勘違いし暴言を吐くが違うことに気が付き、ファンたちから嫌がらせを受ける菜己をかばう。菜己は長谷川の内面に触れ本当はいいヤツだと感じる。
しかし嫌がらせはエスカレートし……!?
ネタバレあり感想
深夜のダメ恋図鑑のように短編集でもどっかしらの話にクソ男が出てくる率高いんですけどこの本はないです。
表題作の長年付き合った恋人と別れてしまう事を決めたヒロインの気持ちがとても伝わってきてジワッときてしまいました。心が離れる前にいっそ手を離すっていう逃げもすごく理解出来るし、別れた後の喪失感もすごく分かる。
長年付き合った相手と別れる時に、1年後に……っていう約束、表題作の場合はその約束が効果的に素敵に描かれてます。
現実はこんな提案絶対止めたほうがいい!諸事情でこのあたりは経験済みだったりします。笑
片方が諦められなかったりすると面倒な事になるんですよ。1年前にきっぱり諦めておけば変に引きずる必要ないわけで。殺るなら急所を一撃で、というのをオススメします。笑
学生時代の恋人とそのまま結婚する確率って1%って聞いたことあります。ハッピーエンドを迎えたはずのあの漫画のヒロインも、あの漫画のヒーローも、数年後実は別れてまーす!って事?って現実的に考えちゃうとすっごい悲しい。汗