ごくごく普通に真面目な人生を歩んできた中年夫婦が、娘の為に罪を犯しヤクザ相手に完全犯罪をしようと頑張る話です。ハラハラな展開続きで目が離せません!
あらすじ
『マイホームヒーロー』 原作 山川直輝 漫画 朝基まさし 1巻
推理小説を書くのが趣味のサラリーマン・鳥栖哲雄は家を出たばかりの娘・零花に会う。零花の顔には殴られたような痕があった。
娘を心配した哲雄は零花が彼氏・延人に暴力を振るわれており、延人は零花の母である妻の歌仙の実家の財産目当てでヤクザ組織ぐるみで近付いたと突き止める。
哲雄は零花のアパートで延人と対峙してしまい、娘を守るため殺害してしまう。そこに妻の歌仙が現れ、全てを知ってしまうが、2人で娘の為に誰にもバレず死体を隠し事件を隠蔽することにする。
延人はヤクザ組織の幹部の息子であり、父親である麻取は溺愛している息子と連絡が取れないことから部下たちに延人の捜索を命じる。
死体を処理しトランクに入れ、自宅に持ち帰る哲雄。山に捨てに行きたいが、既に家族全員がヤクザに疑われ監視されていることに気付き……!?
ネタバレあり感想
この漫画はハラハラドキドキの展開がとても面白いのですが、これを書いている時点ではまだ1巻しか出てない為、本誌を読んでない方でも今からすぐに追いついて読む事をぜひオススメします!
この漫画を読んで、学生時代に勉強した孔子の論語の「父は子の為に隠し、子は父の為に隠す」をふと思い出したんですよね~。
葉公が孔子に言います。
「私の村にはとても正直な者がおり彼の父が羊を盗んだ際、息子が証人となって自らの父を訴えたのです。」
これを聞いた孔子は
「私の村では正直者はそれとは違い、父は子の為に罪を隠し、子は父の為に罪を隠します。父と子がお互いに愛し慈しむ自然の道理に沿っている、正直とはその中にあるのです。」
と反論するんです。
この孔子の価値観は賛否両論あるかと思うんですけど……。
歌仙は夫の罪を知り、隠そうと自ら共犯者になります。
敵側である延人もどんなクズだろうが当然親がいて愛されています。こんなチンピラのクズさえ親から無償の愛を受けてるのに、私の親ときたら……などと頭に浮かびましたがとりあえず置いとこう。。笑
2つの家族愛対決というか。特殊な状況下ではありますが、これも深い愛の成せる事なんですよね。
推理小説好きの哲雄はその知識を生かして着々と死体の処分に向けて動きます。すごく詳しく処理方法とか臭いの消し方とか出てて、これって悪用されたりしないのかな……?とちょっと読んでいて不安に思いましたが推理小説にはよく出てくるような当たり前の知識なのかなぁ?私は推理小説はアガサ・クリスティぐらいしか読んだことないからなー。
哲雄の知識にも驚きですが、妻の歌仙の淡々とした動じない様子はまさに母は強し!死体を隠すことを哲雄にさらりと提案したのも歌仙だし、また同じ状況になっても今度は私が殺すとまで言ってのけます。愛ですね。
夫婦で死体処理という共同作業をしていく様子はむしろ心にきました。最近の夫婦の漫画と言えば不倫だのが多い中、家族愛がテーマとは素晴らしい!
ヤクザの下っ端を束ねる恭一という男が哲雄達を監視しているのですが、とても頭がキレるので哲雄達はピンチにつぐピンチの展開です。どうにか負けないで欲しい!